青い空。
 真っ赤に輝く太陽。
 海は水平線の向こうまで続いていて、その上では大きな入道雲が泳いでいる。
「んぁっ、ン・・・」
どこからどう、誰が見たって夏の海。それも向坂家の名声と、珊瑚ちゃんの財力に物を言わせてやってきた、高級リゾートホテルのプライベートビーチ。
 岩場の向こう、焼ける様な砂浜の上では珊瑚ちゃんやタマ姉、このみたちがはしゃいだ声をあげていて。 
「んっ・・・ふっあ」
 もう何日も前から今回の旅行を楽しみにしていたし。
 昨日だって珊瑚ちゃん、ホテルに着いたそうそう水着に着替えて、俺たちの部屋に押しかけてきて。
 いくらここのホテルの売りのひとつが、歩いてすぐのところにあるこの砂浜だからって、水着姿で廊下を歩き回るのは拙いと思うんだ。しかも、もう日が沈みそうになっていたのに海に行こうとして。
 明日にはいっぱい遊べるからって説得してなかったら、そのまま飛び出して行っちゃったんじゃないだろうか。
イルファさん、そろそんんんっ」
 かく言う俺も、いつもなら朝の散歩なんて絶対にやらないのに。朝、窓を開けて目の前に広がっていた海を見てしまうと、もういてもたってもいられなくなっちゃって。
 まだ人気の無い朝の浜辺を歩きながら、きっと今日は楽しい一日になるだろう。そんな確信めいた予感を、潮風を浴びて感じていた・・・・・・筈なんだけど。
「んんんんんんっ・・・・・・」
「あぁんっ」
 それまでお互いを食べてしまいそうなくらい激しく絡み合っていた唇が、ゆっくりと隙間を空けていく。
 名残惜しそうな声をあげるイルファさん。今まで絡み合っていた舌と舌との間に、唾液が糸を残して。まるでそれがイルファさんの気持ちを現しているみたいに。
「もう」
 まだし足りないのか、イルファさんは拗ねたみたいに俺のことを見て。
 そんなイルファさんに苦笑を返しながら、俺はちょっとだけ、キスをする。いままでしていたような激しいものじゃなくて、小鳥が果物に口をつけるようなちゅー。
 イルファさんの、その赤く濡れたような唇を見つめていると、まだいくらでもその感触を楽しんでいたい気持ちにはなるんだけれど。さすがにお互いの舌を貪るように絡めた、呼吸をすることを忘れてしまいそうな激しいキスの後じゃ息を整えて、ちょっと気持ちを落ち着けたくなる。
 けれど二人とも、浅い呼吸を繰り返している間もお互いの背中に回した腕を緩めるようなことはなくて。
 俺もイルファさんも、まだまだ満足なんてしていない。それに気が付くと、何となくおかしいような恥ずかしいような気持ちになってきた。
 向こうから、またこのみのはしゃぐ声が聞こえてきた。続いて瑠璃ちゃんの悔しがる言葉と、珊瑚ちゃんの笑い声。皆にかけるタマ姉の声もいつもより弾んで聞こえるし、雄二は雄二で、一人で馬鹿笑いを上げているのが良く解る。
 ほんの数十メートル先。そこではみんなが、明るく夏の海を楽しんでいるのに。
 俺とイルファさんは岩場の陰で、二人だけで抱き合っている。お互いを見つめあいながら。
「どうしようか。そろそろみんな、俺たちがいないの、気が付いちゃうかもしれないし」
「そうですね。もしかすると、瑠璃様にも私が、貴明さんとここで抱き合っているところも見られてしまうかもしれません」
「そしたら瑠璃ちゃん怒るだろうね。俺、また蹴飛ばされちゃうよ」
 でも二人とも、お互いの体を離すようなことはなくて。足も、その場所から一歩も動かそうとしない。
「それでは、もう皆様のところに戻られますか・・・んっ」
「でもなぁ。早く戻りたいと思っても、誰かさんがちっとも俺のこと放してくれないし・・・」
「た、貴明さんこそ、あんっ、ここ、こんなに硬くしたままではあちらに戻った時にお困りになって・・・ああぁんっ」
 肩を抱いていた腕を、下に下ろしていく。水着越しの、すべすべとしたイルファさんのさわり心地。お尻に触れると、恥ずかしそうに身をよじるイルファさん。
 そんな反応されちゃ、もっとしてみたくなるじゃないか。
 イルファさんにもっと恥ずかしくなってもらおうと、一層、その胸とは違う弾力のある感触を楽しんでいると。イルファさんの指先が、俺の背骨の上をくすぐっていった。そしてそのまま、まるで弄ぶみたいに水着の上から俺のものを触ってきて。
 イルファさんの肩に顔を埋めると、潮の香りに混じって、イルファさんの匂いがする。舌を伸ばしてみれば、やっぱり、海の味とイルファさんの味がして。
「美味しいですか? 私の体」
「うん、とっても。イルファさんの味、すごく美味しい」
 イルファさんの肩やうなじ、それに鎖骨。ちゅーをするたびにイルファさんの口から切れ切れの声が漏れてくる。
 ただ俺も、そんなイルファさんの様子を楽しめるほど余裕があったわけじゃなくて。さっきから俺の胸に押し付けられる、イルファさんのオッパイ。
 水着越しの感触は、前にお風呂で触れた時とはまた違った衝撃で俺に襲い掛かる。水着越しでもわかってしまう、ツンっと尖った二つの感触に気が付いたときには、もう少しで意識が跳びかけて。
まだこんな、オープニングテーマの前奏部分で意識をショートさせてどうする。だがしかし、そこに追い討ちをかけるように、イルファさんが身をよじるたびに一緒になってその固い二つの感触まで俺の胸の上をくすぐって来て。
水着のすべすべした心地と、おっぱいの柔らかさ、乳首の硬い感触の連携攻撃は、それでも最後まで残っていた理性だとか、ためらいだとか。すぐそばに珊瑚ちゃんたちがいるんだって言う事実まで、あっさりと意識の隅に追いやってしまう。 
「ねえ、イルファさん。こんなところみんなに見られたら、どうなっちゃうかな」
「そうですね・・・その時は、私と一緒に、怒られてくださいますか?」
 きっと、普段の俺だったらこんな試すような言い方はしないだろう。そこまでしてもイルファさんから離れようとしないのは、もうイルファさんのことしか考えられないくらい、頭の中がのぼせてしまっているからで。
 きっと、あの日のお風呂と同じように。
 返事をする代わりに、もう一度、俺とイルファさんはちゅーをする。恋人同士がするような、濃厚な。
 そのままイルファさんを食べてしまえそうなくらい、強く唇に吸い付いて。
 俺の口の中に入ってくる、イルファさんの舌。俺の舌で、その先を突っついて。そのまま、その感触を確かめるように舌を絡めて行く。
 イルファさんの口の中、唾液の味は、甘いとしか言いようがないくらい甘かった。
 何度も言うようだけど、青い空に、真っ赤に輝く太陽。海は水平線の向こうまで続いていて、その上では大きな入道雲が泳いでいる。どこからどう、誰が見たって夏の海。
 俺とイルファさんのいるこの岩場の向こう、砂浜の上では、一緒に海に遊びに来た珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃん、タマ姉に雄二、それにこのみの、はしゃいだ声が響いている。
 そんな夏の海、青い空の下で、俺とイルファさんは抱き合いながら、熱い声をあげている。
 さっきまで水着の上を撫ぜ回していたイルファさんの指は、とっくに中に入り込んでいて。俺のものがイルファさんの細い指に刺激されるたび、背筋を震える様な快感が昇っていく。お陰で、いつの間に水着の外に出されたのか気付かなかったくらいだ。
 ただ、イルファさんに愛撫され続けてきた俺のペニス。外気に晒されたくらいでひるむようなそぶりはこれっぽっちも見せないで。それどころかイルファさんの手に根元からしごき上げられると、時々勢い余ってはイルファさんの水着、おへその下あたりにその先端をこすり付ける。
 ちょうど体の陰になって、その様子を直接見ることが出来ないのがかえって快感の度合いを増しているような。
 きっと俺の先端からは先走りの汁が溢れ出ているに違いないだろうし、そんな俺のペニスを撫で回すイルファさんの手も、もう汁でベタベタになってしまっていて。そして、イルファさんの水着に擦り付けるたびに、そこには濡れた跡が残っているんだ。
 俺の物に水着を汚されていくイルファさんを幻視して、俺は一層の快感を求めて自分からも腰を動かしはじめる。イルファさんの指の動きも、それにあわせるように激しくなっていって。
 このまま出してしまいたい。イルファさんの指の中に精液を溢れさせて、水着を汚してしまいたい。そんな想いが、むくむくと大きくなっていく。
「貴明さん・・・・・・出されるのなら、そろそろ」
 イルファさんが耳元で囁く。
 俺のペニスを愛撫していた指は、その根元を握って。少しだけ体を離すと、何かをねだるように俺のことを見つめてくる。
「そろそろって、何が?」
 俺がそう答えると、イルファさんは呆れたような、拗ねるような顔を俺に見せてくれて。
 イルファさんがどうして欲しいかなんて、言われるまでもなく十分に承知はしているんだけど。でも、イルファさんのこの顔が見たくて、ついつい意地悪なことを言ってしまうんだ。
 イルファさんもそれはすぐに解ったみたいで、「もう」なんて小さく呟くと俺の体に身を寄せてきた。そして俺の右腕を捕まえると、ゆっくりと自分の太ももと太ももの間、足の付け根のところに俺の手を持っていく。
 イルファさんに運ばれて触れた、イルファさんの女の子の部分。海に入ったわけでもないのに、水着の上から触ったってわかるくらい濡れていて。
 我慢できず視線を下に落とすと、ライトグリーンの水着の、そこの部分だけが暗く染みになっていて。俺の指が触れる、そのすぐ横、水着の隙間からはイルファさんのローションが、一滴太ももを伝って零れていった。
「私のここ、さっきから貴明さんのことをお待ちしているんですから」
 手を放すと、イルファさんは後ろの岩場に背中を預ける。浅く上げられた右足、その付け根の部分。水着は股間部分をずらして、嫌が応でもあそこの様子が、俺の目に飛び込んでくる。
「早く、私の中貴明さんで一杯にしてくださいまし」
 一歩。二歩。三歩目で、俺はイルファさんのことを捕まえる。
 上げられたイルファさんの右足を、左腕で抱えて。目の前には、水着姿のイルファさん。もう、逃げられない。逃がさない。
 無防備な姿のまま、自分からその、本当なら水着で隠れている秘部を俺に見せてくるイルファさん。しっとりとほころんだそこからは、俺に見られながら今も蜜を溢れさせている。
 ペニスを掴んで、イルファさんのそのワレメに押し当てる。ただそれだけで、イルファさんから溢れてくるローションは俺の物を濡らしていって。
 そのままイルファさんの腰を抱きかかえて突き入れると、驚くほどあっさりイルファさんの一番奥まで、俺のペニスが到達した。
「んひっ、ひぃあぁいぃぃぃぃっぁぁぁぁ・・・・」
 とたんに、挿入した時が嘘のように俺のペニスを締め付けてくるイルファさんの体内。
 片足を抱えた不安定な態勢で繋がっているものだから、ちょっと動こうとするとバランスを崩して、俺の物がイルファさんの内側、一番奥を抉ってしまう。そのたびに、イルファさんの口からは「あっ」なんて悲鳴にも似た声が上がって。
 しかもそれを、口の端から涎を垂らしながら、焦点の定まらない瞳で言ってくるもんだから堪らない。
 そこで、腰の動きを今までの小刻みに動かすものから、わざとゆっくりと抜き差しするのに変えてみた。
 俺に足を抱えられているせいで、必然的に大きく広げられてしまっているイルファさんの股。その、根元まで俺のペニスを頬張ったイルファさんのワレメから、ゆっくりと、ドクンドクンと脈を打つ俺の物が引き抜かれていく。イルファさんの汁で、ぬるぬるになった物が。
 そのとんでもなくいやらしい光景に、俺も、それにイルファさんも目が離せなくて。
 カリの部分がワレメの入り口に届くまで、二人とも息をするのも忘れて眺めていた。
「こんな大きな物が、私の中に・・・・・・」
 溜息をつくように、イルファさんが呟く。
 それは、俺も同じ思いで。
 イルファさんの、力いっぱい抱きしめれば折れてしまいそうな細い体の、こんな小さなところが。俺の物を全部飲み込んでいてくれたんだから。
 今も、ワレメの入り口のところは、浅く突き入れられている俺のものをきゅうきゅうと締め付けてきていて。まるで必死になって異物を外に押し出そうとしているのか、それとも、早くまた奥まで飲み込んでしまいたいと催促しているような。
 軽く腰を引く。イルファさんが息を呑むのがわかる。
 けれど俺はイルファさんが身構えるよりも先に、ゆっくりと引き抜いたペニスを、また一気に突き入れる。
 ペニスどころか、快感がまるで電流みたいに全身を飛び跳ねる。
 その後はもう、我慢なんてしていられない。
 バランスが悪いのなんて気にもしないで、ただイルファさんの中を感じたくて、腰をイルファさんに打ち付ける。
「はぁっんっ、あっ、あっあ、くうぅっん」
 イルファさんの上げる嬌声が、更に俺の頭を痺れさせていく。
 イルファさんはまるで助けを求めるみたいに両腕を伸ばすと、俺の首に抱きついてきて。
 足に、もう力が入らないみたいだ。今にもその場に崩れ落ちてしまいそうで、でもそれが、更に俺との結合を深くして。
イルファさん、俺、も、もう」
 とうとう、我慢の限界がやってきた。下半身に、熱い塊のようなものが溜まっていく。
「くら、くらさい・・・貴明さんのぉ、熱い精子、いっぱい・・・いっぱい私の中に注ぎこんでくらさいぃっ!」
 イルファさんがそう叫んだ時だった。俺の、我慢の限界が来るのは。
「ひゃ、あっ、ああーっ、あぁぁぁーっ!!」
 まるで堰を切ったみたいに、俺のペニスの先から精液がイルファさんの一番奥へと流れ込んでいく。射精するたびに、その音が聞こえそうなくらいの勢いで。
「ひゃっ、ひっ、んっ、んっ、んっ」
 ペニスが脈打つたびに、イルファさんの中で射精される精液。最後の一滴が注ぎ込まれてようやく、俺に抱きついていたイルファさんの腕から力が抜けていった。
「気持ち・・・いい」
 俺に体を預けたまま、イルファさんは荒い息を繰り返している。
 呆れたことに、あれだけ射精したのに俺のペニスは硬いまま、イルファさんの中に残っていて。精液とローションにまみれたそれを、ゆっくりとイルファさんから引き抜いていく。
「ああんっ」
 俺の物が完全にイルファさんの体の中から外に出ると、イルファさん、もう体に力がはいらないのかそのままへたり込みそうになっちゃって。俺も慌てて体を支えてあげなくちゃいけなかった。
「大丈夫? 辛かったりしない?」
「はい・・・はい、大丈夫です」
 惚けた様子で返事をするイルファさん。普段だったらとても平気には見えないんだけど。
 ただ俺に背中を抱かれたままお腹の辺りに手を触れて。今までの行為を思い出すみたいに体を震わせる。
「貴明さん。貴明さんの、まだ私のお腹の中で溜まったままなんですよ・・・すごく濃くて・・・・・・あんなにたくさん、私の中に出したのに・・・・・・ちっとも溢れてこない」
 その言葉に釣られるように視線をイルファさんの下半身に下ろす。確かに、つい今まで俺のペニスに攻め立てられていたイルファさんのワレメ。イルファさんのエッチな汁はあそこどころか太ももの辺りまで太陽の光を反射させていたし、水着も、下半身のところだけ海にでも入ったように濡れていた。
 イルファさんは何も言ってこなくて。エッチの後の、イルファさん様子に目が離せなくなった俺にただ溶けたような笑顔を向けてくるだけで。
 俺の指は、まるで誘われるようにイルファさんのワレメに向かって伸ばされていく。イルファさんを抱きとめていた腕は、胸の方へと回されて。水着の表面に飛び出した、イルファさんの乳首を摘み上げる。
 くりくりと摘んでは引っ張って、爪を立てて引っかいて。人差し指で胸の中に押し込んでみても、すぐにまたピンっとその存在を強調する。その度にイルファさんの口からは短い喘ぎ声が漏れ出て、それがうれしいやら面白いやら。
 ついつい調子にのって遊んでいると、自分の体をオモチャにされたのがご立腹なのか、水着越しのその感触がもどかしいのか、抗議の声を上げようとするイルファさん。
 けれどイルファさんが口を開くその前に、俺の指はイルファさんのワレメ。その中に入り込もうとしていて。
 既に一度、俺のものを吐き出されたイルファさんのアソコの中。とろっとろにとろけていて、こっちが驚くくらいすんなりと俺の指を飲み込んで。
 火傷しそう、なんてもんじゃない。そのまま俺の指が解けてなくなってしまいそうなくらい熱い。性器を入れた訳でもないのに、指先からまた射精してしまいそうな錯覚に襲われて。
 ただ、いくら心地よいからって指を入れただけじゃ勿体がないし。
 ワレメの中に潜り込んだ二本の指を動かすたびに、イルファさんは声を上げて、身をもだえさせてくれる。もちろん、その間も左手はイルファさんの胸に悪戯し続けるのも忘れてはいないし。
 クチュクチュとイルファさんの中を弄る。波の音と一緒に、俺の耳にまでその音が聞こえてきそうなくらい。指を広げると、足元。岩の上にイルファさんの愛液と、俺が出した精液と、それが混じって泡立った物が、イルファさんのワレメの中から零れる。
「んっ、もう。私の体で玩ぶの、そんなに楽しいんですか?」
「うん、凄く」
 イルファさんの中から抜いた指。イルファさんの目の前で見せ付ける。
 「ほら」そう言って広げた指先からは、今、イルファさんのワレメの中から零れ落ちている物と同じ愛液が糸を引いて。
イルファさんは、楽しくない?」
「わ、あっあぁんっ、わ、私は・・・」
 目の前の、俺の指から目を離せずにいるイルファさんにゆっくりとその指を近づけていく。唇のところ。荒く呼吸する、イルファさんの息がかかる。
 唇の隙間から、イルファさんの舌が伸びて指先から垂れて行く、愛液と精液の混じった露を舐め上げた。
 汁で濡れた俺の指を手にとって、一本一本丁寧に綺麗にしていってくれる。たまに、口の中にまで指を含んでくれて。
 イルファさんの口の中で、俺の指にイルファさんの舌が絡む。舐められているのは指なのに、爪の先をくすぐられるたびにゾクゾクとした快感が、指先から背中を通って全身を走る。
「い、イルファさん・・・」
 熱心に俺の指を愛撫するイルファさん。
 俺が切羽詰った声を上げると、ようやく、唇から指を放してくれた。舌の先と俺の指先に、唾液でアーチを作りながら。
「気持ち良かったですか?」
 頷く俺。もうちょっとされてたら、指を舐められただけでいっちゃいそうなくらい、気持ちが良かった。
「ここも、こんなに大きくなされて」
さっきから、イルファさんのお尻に触れている俺のペニス。一度出したとは思えないくらい、いや、イルファさんの中にさっき射精する前よりも、ガチガチに硬く興奮させて。
 先走りの汁は、さっきからイルファさんのことを汚し続けている・
 素直に頷く俺に、イルファさんは満足そうな笑顔を向けてきて。
 さっきからいろいろとイルファさんにイタズラしてたお返しなんだろうか。少なくとも、主導権だけは完全にイルファさんにとられちゃったみたいで。
「それでは」
 俺の腕の中から抜け出すイルファさん。急にいなくなってしまったイルファさんの温もりに、もう今にも理性が尽きてしまいそうな俺の体。
 けれどイルファさんはその場で腰を折ると、前の岩場に手を付いて。まるで四つんばいになるみたいに。
そして後ろを向いて俺のことを見つめてくる、イルファさんの欲情に潤んだ瞳。
「・・・今度は、貴明さんが私のこと、気持ちよくしてくださいまし」
 足を広げて、誘うように自分のワレメを俺に広げてみせるイルファさん。
 俺のペニスと、そして指に何度もかき回されたイルファさんのワレメの中は真っ赤に充血していて。今も涎を垂らしながら、俺のことを待っていてくれている。
 早く、俺のペニスでいっぱいにして欲しいって。
「ひっ、や、いやぁ。焦らさないでください、もっと奥までぇっ!」
 ゆっくりとイルファさんの中に沈みこんでいく俺のペニス。その期待していたものとは違うもどかしさに、イルファさんが悲鳴を上げる。
 俺も、できることならこのまま一気にイルファさんの一番奥まで突きこんで、イルファさんのことを全部感じてみたい。イルファさんに気持ち良くなってもらいたい。
 けれどそれが出来ないのは、今そんなことをしたら俺のペニスはあっさり限界を迎えてしまうことが間違いないからで。それくらい、俺を包み込んでくるイルファさんの中は気持ちが良かった。もう、苦しいくらいに。
 だから、俺の物がゆっくりと挿入されていくたびにイルファさんの口からは焦れた声が上がって。自分で動こうにも腰を俺にしっかり掴まえられているせいで出来なくて。それが一層、イルファさんの情欲を煽ってしまっていく。
「おいおい、本当に貴明のやつこっちにいるのかよ」
「いるよぉ。だってさっき、タカくんとイルファさん二人でこっちに来たの見たもん」
 このみと雄二、二人の声が聞こえてきたのは。ようやくイルファさんの一番奥まで繋がることが出来たときだった。
 いきなり聞こえてきたその声に、頭の中が一瞬で真っ白になる。
 いや、いきなり聞こえてきたわけじゃないんだろう。真相は、俺もイルファさんもエッチに夢中になりすぎて、今まで全く気が付いていなかっただけで。
 そうこう慌てているうちに近づいてくる二人の足音と話し声。
「あそこの陰が妖しいと思うんだけどなぁ」
「あんな岩しかないようなところに、なんで貴明とイルファさんがいなきゃいけないんだよ。二人で売店にジュースでも買いに行ったんじゃねぇの。ちくしょー、貴明のやつイルファさんを独り占めしやがって。見つけたらどうしてくれようか」
 今、俺とイルファさんが抱き合っている岩場のすぐ裏側にいる、このみと雄二。その言い合いが、今にもすぐ真横から聞こえてくるんじゃないかと気が気じゃない。
 こんな根元まで深く繋がってしまっている今の状態。見られでもしたらどう言い訳すりゃいいって言うんだ。
イルファさん、このまま二人がいなくなるまで待って・・・い、イルファさん!?」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい、でも、もう私我慢が出来なくて」
 イルファさんを掴んでいた俺の腕が緩んだとたん、俺のペニスと繋がっているイルファさんの腰が上下に動き始める。
 不意打ちに近い下半身を襲うその快感に、思わず漏らしてしまいそうになる声を必死になって我慢する。
 火が完全に付いちゃっている様子のイルファさん。歯を食いしばって何とか声を外に上げてしまわないよう耐えているのが良く解る。腰が動くたびに揺れる、イルファさんの髪。
耳に小さく聞こえてくる、結合部からの水音。いやに大きく、響いて。
「んっ、んっ、あ、やっあっ、んんっふうっっ」
「でもでも、万が一ってこともあるし。あ、今何か音がしなかった?」
 このみの足音が、こっちに近づいてくる。きっとあと数歩、このみが足を前に出せばきっと俺たちは。
「んっ、んん─────ん───っ!!」
「探したいなら一人で探してくれよ。俺はもう行くぜ。ったく、姉貴も貴明探したいなら自分で働けっつうんだ」
「あー、ユウ君まってまってー」
 二人の足音が、遠ざかっていく。危ない、ところだった。
「行ったね」
「はい・・・いっちゃい、ました」
 イルファさんは全身を弛緩させて、安心以外のため息をつく。口の端には、流れ出した唾液が線をつくっていて。
 ただイルファさんの膣内だけは、そこだけ別の部品みたいにヒクヒクと痙攣して、俺のものを締め付けてくる。
イルファさん、そんなに興奮した?」
「や、やぁ・・・」
 俺がそう言うと、顔を真っ赤にしてイヤイヤをするイルファさん。でも、俺と繋がったまま離れようとはしないで。
「ねえ、イルファさん。俺、まだいってないんだ。動いて、いいかな?」
「あ・・・・・・はい。今度は貴明さんが、いっぱい、いっぱい、私の中で気持ちよくなってくださいませ」
「うん、気持ちよくなる。俺、イルファさんでいっぱい気持ちよくなるよ」
 イルファさんの一番奥まで刺さっていた俺のペニスをゆっくり引き抜いていき、また一番奥まで一気に。
 あがるイルファさんの嬌声。いったばかりで、イルファさんの体はいつも異常に敏感になっているみたいだ。でももう、手加減なんてしていられない。
 ただ気持ちよくなりたい一心で腰を振って、イルファさんの奥を抉っていく。
 露わな背中にキスをする。また、イルファさんのおっぱいにイタズラをした。出し入れを繰り返しながら、イルファさんのクリをつまみ上げて。そのたびに聞こえるイルファさんの喜んだ声が俺のことを更に興奮させる。
 二人ともお互いの声をうわごとのように叫びあいながら。
「貴明さん・・・大好きです」
「俺も、イルファさんのこと大好きだよ」
 とうとう我慢も限界が来た。
 俺のことを振り向いてくれたイルファさんとキスをしながら。
 きゅうきゅうと締め付けてくるイルファさんの中。その中一杯に、俺の精液を。
 耳に聞こえてくるのは、舌を絡める唾液の音と、あふれ出す精液のドクン、ドクンという感触。
 精液を全部出した後も、俺とイルファさんは唇を触れ合わせ続けて。
 ようやく離れたのは、流石に元気のなくなった俺の物がイルファさんの中から抜け落ちた時のことだった。
 二回連続。しかもこんな夏の青空の下で。
 全身を幸せな、でもこのまま立っているのが辛いくらいの疲労が襲ってきて。
 イルファさんも焦点の合わない瞳のままで、俺に抱きしめられ続けている。
 ただ抱きしめているだけでもイルファさんの体温を感じていられるのは心地がよくて。しばらくこのまま、イルファさんと休んでいようか。そんな風に考えていて、イルファさんの顔から視線をはずして・・・目が合ってしまった。
「さ、ささささ珊瑚ちゃん?」
 あ、見つかっちゃった、なんて顔でこっちを見てる。
 いや、珊瑚ちゃんだけじゃない。隣には当然のように真っ赤な顔した瑠璃ちゃんがいて。それにタマ姉。もしかしたら一番慌てているのはタマ姉かもしれない。
 まあ、そりゃ覗きをしてるのがばれたら、タマ姉じゃなくても慌てるよなぁ。
 このみも、手で目隠ししようとするなら、そんなに指を広げちゃダメだろ。隙間から見える。
「貴明、さん・・・」
 みんなに気が付いたイルファさんも、呆然とつぶやいた。
 だって、そりゃそうだろ。イルファさんのワレメからは、俺が出した精液が溢れて太ももを流れているし。俺も水着の隙間からさっきまでイルファさんの中に入っていたものが、隠しもせずに覗いている。
「たーかーあーきー、いーるーふぁー」
 地獄の底から響いてきたような、瑠璃ちゃんの声。慌ててそっちのほうを向いた時には、もう手遅れで。
「このっ、すけべー!!」
 後ろの、海の中に蹴落とされてしまっていた。
 海の中に沈んでいく前に目に飛び込んできたもの。
 青い空と、白い雲と、真っ赤な太陽。それと、イルファさんの恥ずかしそうな顔。
 ああ、夏の海だな。



   終



「貴明、さぁん」
 二人の足元に出来る水滴を目で追って、声を震わせながら言うイルファさん。
「早くぅ」
「早く、だけじゃわからないよ。それにイルファさん、指だけでこんなに気持ち良さそうにしてるし」
 イルファさんのワレメの中から引き抜いた指は、指どころか手のひらまでベタベタで。
「。
 


 イルファさんの着る水着は、大きく背中が開いていて。俺に後ろから攻め立てられながら、その無防備な素肌を晒していて。赤くなってしまっているのは、さっきしたときに、岩場で擦ってしまったからだろうか。
 水着の生地あちこちには、俺たちの体液がこすり付けられて出来た染みがあって。それに重力に引かれて、腰を動かすたびに揺れるイルファさんの胸。そしてそれを覆う水着は、首のところまで続くデザインで。それが、後ろから見るとまるで・・・・・・
 チョーカー・・・首輪
「ひゃやあぁぁっ!!」
 イルファさんの嬌声が、ひときわ大きく俺の耳を打つ。その声に俺の理性のタガは完全に外れて。
 もっとイルファさんの奥を感じたい。
 もっとイルファさんに悲鳴をあげさせたい。
 もっと、イルファさんを俺でいっぱいにしてやりたい。
「ひっ、あっ、あっ、あっ、ひん、ひゃった、貴明ひっはっ、はげし、貴明さんのすごいぃぃっつ!」
「気持ちいい!? 気持ちいい!? イルファさん、イルファさんイルファさんっ!!」
 お互い、もうまともに声を上げることだって難しい。
 俺のペニスが、イルファさんの中の上壁を擦りあげた。イルファさんが、俺の名前をさけぶ。
 一際強く俺のことを締め付けるイルファさんの膣内。とっくに限界を超えて、あとはただもっとイルファさんのことを感じていたい。ただそれだけで我慢をしていた俺のペニスの奥に、まるで溶けたマグマが溢れてきたような感触。
イルファ・・・さん。俺、もう出したい。イルファさんの中に、沢山っ」
「はいっ、くだはい。貴明さんの精液で私の中いっぱいにしてぇーっっ!!」
 もう我慢は無理だった。
 頭の中が真っ白になるような感覚。
 全身の血が、抜けて全部下半身に集中したような。
 イルファさんの叫ぶ声が、どこか遠くから聞こえる。けれど全身で感じるイルファさんの体温が、それが錯覚でしかないことを教えてくれて。
 まだ脈打っている俺のペニスは、まるで最後の一滴まで精液をイルファさんの中に吐きだそうとしているように硬いままで。ドクン、っとイルファさんの中で跳ねるたびに聞こえる、イルファさんの声が愛しい。
 イルファさんの中も、俺の吐き出した精液を全部受け入れてくれようと蠢いていて。
「はぁ・・・・・・っ」
 全部をイルファさんの中に注ぎ込んで・・・なんだか物凄く長い時間、イルファさんの中で射精を続けていたような、それともほんの一瞬の出来事だったような不思議な感覚。

 イルファさんの、日焼け一つしていない白い肌。この強い日差しを浴びて、まぶしいくらいだ。